こんにちは、めるにあです。今回は前回の予告通りグリクシスデルバーのレシピのうち、メインボードの解説をしていこうと思います。内容としては、最初に大体の枚数配分を例を示して解説し、その後各カードについての解説をしていこうと思います。自分の変なレシピも最後に解説していくのでよければお付き合いください。*筆者が書いている途中に力尽きたため自分のレシピは次回のサイドボード編の最後に併記します、申し訳ありません。


1.レシピ概要解説

 まずは一般的な構築の概要を説明していきます。レシピは晴れる屋さんのデッキ検索のページから、最新で載っていたものをお借りしました。


1 《血の墓所/Blood Crypt》
4 《血染めのぬかるみ/Bloodstained Mire》
2 《島/Island》
1 《山/Mountain》
4 《汚染された三角州/Polluted Delta》
1 《沸騰する小湖/Scalding Tarn》
1 《尖塔断の運河/Spirebluff Canal》
2 《蒸気孔/Steam Vents》
2 《沼/Swamp》
2 《湿った墓/Watery Grave》

20 Lands

4 《秘密を掘り下げる者/Delver of Secrets》
1 《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
4 《瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage》
3 《黄金牙、タシグル/Tasigur, the Golden Fang》
2 《若き紅蓮術士/Young Pyromancer》

14 Creatures

3 《致命的な一押し/Fatal Push》
2 《コラガンの命令/Kolaghan’s Command》
4 《稲妻/Lightning Bolt》
3 《マナ漏出/Mana Leak》
2 《差し戻し/Remand》
2 《呪文貫き/Spell Pierce》
2 《終止/Terminate》
4 《思考掃き/Thought Scour》
4 《血清の幻視/Serum Visions》

26 Spells


60 Mainboard Cards

引用元:http://www.hareruyamtg.com/jp/k/kD07013K/

 高いからか沸騰する小湖と血染めのぬかるみの枚数が逆になっていますが、こんな感じが一般的なグリクシスデルバーのメインボードとなります。

 土地は、フェッチランドが8~9枚(最近は9枚が多いです)、ショックランドが4~5枚、ファストランドが0~2枚、基本土地が4~5枚で計18~20枚というの配分が多いです。三色で、かつ序盤から積極的に動いていかなければならないこのデッキはマナスクよりも色事故が怖く、レシピからもわかる通り青くない土地は全体の四分の一ほどになっています。
 
 各ランドの枚数としては、フェッチランドが青がらみの≪沸騰する小湖≫、≪汚染された三角州≫が4枚ずつにレシピによって赤黒の≪血染めのぬかるみ≫が1枚。ショックランドが赤青の≪蒸気孔≫が2枚、その他の組み合わせの≪湿った墓≫≪血の墓所≫が1枚ずつ、レシピによって≪湿った墓≫がもう1枚。ファストランドとして青がらみの≪尖塔断の運河≫≪闇滑りの岸≫が、どちらか1枚もしくは両方1枚ずつもしくは0枚。基本土地が≪島≫2枚≪沼≫1枚≪山≫1枚、レシピによって沼がもう1枚といった感じです。沼に関しては以前はほぼ1枚だったのですが、最近では≪致命的な一押し≫の存在から少し黒マナを濃くした構築が多いように思います。また、山の枚数が少なめなのはショックランドから赤マナが3つ出るのと、≪血染めの月≫(すべての基本出ない土地を山に変えるエンチャント。天敵。)を置かれても赤は出るから、というのが理由だと自分は考えています。

 続いてクリーチャーなのですが、土地を例えば20枚入れると残りは40枚。このうち24~26枚はインスタント、もしくはソーサリーにしたいです。なぜなら≪秘密を掘り下げるもの≫が変身してくれなければ話にならないから。のちに解説する≪血清の幻視≫で積み込みも可能とはいえその枚数はわずか4枚。構築段階から変身しやすくなければ辛いです。そんなわけで入れられるクリーチャーの枚数はこの場合16枚がほぼ最大です。

 この内訳としては、≪秘密を掘り下げる者≫が4枚、≪瞬唱の魔導士≫が4枚、≪黄金牙、タシグル≫≪グルマグのアンコウ≫の探査生物が3:1or2:2の計4枚。ここまでが固定で、あとの2~4枚は≪若き紅蓮術師≫がもっとも一般的で2~3枚、あとは≪ヴェンディリオン三人衆≫が1~2枚入ることもあります。計4枚入れるときは≪紅蓮術師≫3枚≪ヴェンディリオン≫1枚といった感じです。
 
 固定クリーチャーの枚数の理由としては、≪秘密を掘り下げる者≫は初手にあってほしく、かつ複数あっても嬉しいため4枚。≪瞬唱の魔導士≫は腐ることがあり得ないため4枚。≪黄金牙、タシグル≫は初手にあったら嬉しいですが「伝説のクリーチャーである」という理由から2~3枚。その穴を埋める≪グルマグのアンコウ≫が1~2枚。

 もしその他のクリーチャーをメインボードに入れる場合、CMC3マナのクリーチャーは多くて2枚。2マナのクリーチャーでも(≪瞬唱の魔導士≫除いて)4枚程度。1マナのクリーチャーならインスタント・ソーサリーの枚数と相談してください。

 また、色拘束に関しては、赤や黒のダブル以上のシンボルは入れない方がよいと思います。そんなに自由に色出ないです。3マナクリーチャーの枚数も、クロックパーミッションの性質上できるだけ打消しを構えながら動かなければならないので土地2枚は起こしておきたいのですが、3マナクリーチャーを使うとなると土地が5枚必要になり、毎回そこまで伸ばすのはとてもつらいため最大2枚としています。

 最後にインスタント・ソーサリーですが、手数の多さを武器とするため1マナの呪文がとても多いです。例に出したレシピの場合≪血清の幻視≫4枚、≪思考掃き≫4枚、≪呪文貫き≫2枚、≪致命的な一押し≫3枚、≪稲妻≫4枚の計17枚と、26枚のうち65%もの領域を占めています。探査クリーチャーや≪瞬唱の魔導士≫を用いることからもこのくらいの枚数は必要です。残りのマナ領域としては、3マナが2~4枚、残りが2マナといった感じになります。3マナが最大でも4枚なのはやはり手数を取りたいというのと、クリーチャーの時と同様に3マナの呪文を唱えてしまうと打消しを構えるのが難しくなるためです。

 この内訳ですが、まず1マナのものが≪血清の幻視≫4枚、≪思考掃き≫4枚、≪稲妻≫4枚が固定で、ほぼ固定で≪致命的な一押し≫が3~4枚、あとは≪呪文貫き≫が2枚もしくは≪呪文嵌め≫が2~3枚、たまに≪思考囲い≫や≪コジレックの審問≫が3~4枚入っているときもあります。続いて2マナのものが≪マナ漏出≫が2~3枚、≪差戻し≫が2枚か0枚、≪終止≫が2~3枚、≪対抗突風≫0~2枚あたりが、種類はほぼ固定で、枚数は人によってまちまちに入っています。最後に3マナのものですが、≪コラガンの命令≫が1~2枚のみのものが最も多く、たまに≪電解≫が1枚、ごくごくたまに追加の≪コラガンの命令≫が1~2枚入っていることがあります。

以上がグリクシスデルバーの大体のレシピ解説となります。


2.各カード解説

 土地、クリーチャー、インスタント&ソーサリーの順に、先ほど1で挙げたカードについて説明していきます。土地については各種類ごとにまとめて書いていきます。


(1)土地
・フェッチランド
 ≪沸騰する小湖≫採用枚数:4枚
 ≪汚染された三角州≫採用枚数:4枚
 ≪血染めのぬかるみ≫採用枚数:1枚
 1ライフ払い生贄にすることでデッキからそれぞれの色に応じた基本土地タイプを持つ土地(ショックランド、基本土地など)を持ってこられるトランプでいうジョーカーのような土地です。色が大事なこのデッキでは当然重要で土地のうち約半分を占めます。さらにゲーム中デッキから土地を減らせるというのも重要でできるだけトップをデルバー変身のためのインスタントソーサリーや、単純に有効牌にしておくという点でも役に立ちます。
 枚数配分は上記の通り赤青:青黒:赤黒=4:4:1となっています。このうち赤青の≪沸騰する小湖≫は非常に高価なので最初は赤黒の≪血染めのぬかるみ≫を4枚にするのもよいと思います。この二種類の差は≪島≫を持ってこられるかどうかというところなのですが、使い始めのころはぶっちゃけわかんないです。自分も最近やっと実感してきました(笑) 高くてなかなか組めなくて練習ができない方がよっぽど損なので妥協でもとっとと組んで使い始めましょう。
 ≪島≫を持ってこられることによるメリットとしては、
 ・血染めの月への耐性(早めに確実な青マナを確保できる)
 ・対バーンにおけるライフの節約(後述しますがショックランドはライフ支払いが必要です)
の二点が主なところとなります。大きいには大きいのですが、それ以上に≪小湖≫の値段が大きいです(他2種の約4倍)。

ショックランド
≪蒸気孔≫採用枚数:2枚
≪湿った墓≫採用枚数:1~2枚
≪血の墓所≫採用枚数:0~1枚

 それぞれの色に応じた基本土地タイプを持ち、2点のライフを支払うことでアンタップインできます。ライフさえあればいつでもアンタップインでき、フェッチランドから持ってくることができるのが強みです。しかしライフぺイもなかなか痛いので、枚数は4~5枚程度です。色の配分は赤青:青黒:赤黒=2:1~2:0~1となっています。≪湿った墓≫と≪血の墓所≫の採用枚数については1:1か2:0か2:1のいずれかとなり、どの色マナを必要とするかや、そもそもの土地の枚数の調整で変わったりします。もっとも一般的なのは1:1です。フェッチランドから持ってくるときのテクニックとしてすぐにそのマナが必要でなければ相手のターン終了時にタップインするというのはライフゲインの手段がなくメインでショックイン(ライフペイしてアンタップインすること)を多くするこのデッキではとても重要です。

・ファストランド
≪尖塔断の運河≫採用枚数:0~2枚
≪闇滑りの岸≫採用枚数:0~1枚
 
 これを置く前の自分の土地が2枚以下であればアンタップインするという少し変わった土地です。序盤にアンタップインできることと、ショックランドと比べてライフを払わなくてよいというのが大きな強みです。しかし、基本土地タイプを持たないためフェッチランドから持ってこられないことと、後半土地が並んでいる状態ではタップインとなってしまうことがデメリットとなります。このデッキではフェッチランドから持ってこられないというのが大きな弱みとなるため、採用枚数は控えめです。色の配分は赤青:青黒=0~2:0~1となり、パターンとしては0:1、1:0、1:1と様々で、これに関しては自分もまだ正解がわかりません。序盤ライフ要らずのアンタップインは非常に優秀なのですが、後半土地をひいている場合ではないこのデッキではいれすぎるとデッキ圧縮のためでもあるフェッチランドが腐ってしまう原因にもなります。
 赤黒が採用されないのは序盤に青マナが出せない土地は必要ないためです。初手で血清の幻視や秘密を掘り下げる者があっても唱えられないのは話になりません。これが血の墓所が0枚採用もありうる理由でもあります。

・基本土地
≪島≫2枚
≪山≫0~1枚
≪沼≫1~2枚
 説明するまでもない基本土地。これは基本的には色の配分は青:赤:黒=2:1:1です。このデッキにおける基本土地というのは以下の3点で用いられます。
・ライフが節約できるフェッチランドから持ってくる色土地
・≪血染めの月≫対策
・≪流刑への道≫≪幽霊街≫≪廃墟の地≫などの補填として基本土地を持ってこさせるもの用
 よって≪血染めの月≫置かれた際にほしい色マナの数が配分を考える際の最大のポイントになります。山が0枚採用もありうるのは≪血染めの月≫をおかれればどうせすべての基本出ない土地から赤マナが出るためです。枚数に関しては3点目の補填用というのが焦点になりますが、≪流刑への道≫は瞬唱で使いまわされるし土地破壊土地2種は枚数的にすべてに対して土地を持ってくるのは不可能なのでそこまで重要視していません。ゆえに土地による土地破壊にはとても弱いです。がんばってください(他人事)。かといって枚数たくさん入れるのは有効牌引けなくなるわ初手1色しか出ないわで悲惨なので絶対にやめましょう。使っててぶちぎれることになります。


(2)クリーチャー

≪秘密を掘り下げる者≫採用枚数:4枚
 デッキの主役。3ターン以上連続で裏返らず「なんだこの雑魚」とキレることもままあります。逆に初手デルバーからの次ターン2マナ打消し公開変身はたのしすぎて脳内麻薬すごいことになります。ヘイヘーイ!除去撃って来いよオッラーン!なお重ね打ちされて結局死にます(つらい)。なんだかんだ書きましたが1マナ3/2飛行は優秀です。マイソウルカード!たいていの場合は引いたら即出しましょう。手札にいても邪魔です。打消しを構えられるのが理想。

≪瞬唱の魔導士≫採用枚数:4枚
 超パワーカード。瞬速(インスタントと同様に唱えられる)をもち、登場時に墓地のインスタント・ソーサリー1枚を選びそのターンだけ墓地から唱えられるようにするという(詳しくはフラッシュバックという能力を調べてください)アドの塊。稲妻素撃ちからのこれでもう一回唱えて4マナ6点火力!は強力の一言。このカードのおかげでこのデッキのあらゆるインスタント・ソーサリーは採用枚数+4枚でカウントできます。後述する≪コラガンの命令≫を唱えてこのカードを回収しながらもう1枚アドをとるのは鬼です。
 忘れてはならないのがこのクリーチャーはなぜかパワーも2あること。効果を考えずに相手のターン終了時に出して殴るというのもよくあります。

≪黄金牙、タシグル≫採用枚数:2~3枚
 無色5+黒1マナという重いクリーチャーなのですが、探査という能力により
墓地にあるカード1枚で無色1マナを代用できるため黒1マナで出せるのもザラにあります。そのくせにサイズは4/5としっかり重量級。加えて無色2+青か緑から2マナ支払うことにより墓地から呪文を回収できるという能力もあるため長期戦にも非常に強いという素晴らしいカードです。
 唯一欠点となるのが伝説のクリーチャーであることで、2体以上同時に出すことができません。ゆえに複数引くとちょっと腐ってしまったりもしますが、相手からするとこんなクリーチャー放っておくわけにはいかないのでわりとすぐに再び出せるようになります。が、この点が採用枚数が2枚か3枚で割れる理由です。

≪グルマグのアンコウ≫採用枚数:1~2枚
 無色6+黒1になった≪タシグル≫。代わりにサイズが5/5になり、伝説でなくなりました。墓地を食べる枚数が増えるためタシグルと合わせて4枚になるように採用されます。5/5というサイズは4/5と大差ないように見えますが実は大きく、4/5を一方的に倒せ、5/5と相打ちを取れるのは優秀です。≪タシグル≫はもちろん≪タルモゴイフ≫とか≪タルモゴイフ≫とか、あと≪タルモゴイフ≫とかに有効です。
 ≪タルモゴイフ≫のことで追記なのですが、≪タシグル≫も合わせ探査クリーチャーは自分の墓地を任意に減らすことができます。これにより≪タルモゴイフ≫のサイズを縮めることができるというのは覚えておいてください。加えて探査能力はコスト支払いなので割り込んで墓地を追放される、ということが起きないというのも覚えておくとよいです。

≪若き紅蓮術師≫採用枚数:0or2~4枚
 自分のインスタント・ソーサリーを唱えると1/1の能力を持たないエレメンタル・トークンがでるという能力を持ったクリーチャーです。このデッキのクリーチャーの枚数が少ないという部分をカバーしてくれ、大型の地上クリーチャー(飛行を持たないクリーチャー)へのブロッカーを用意してくれたり、これ1枚とそのトークン軍団だけですごい打点を出してくれたりします。本体が2/1と貧弱ですぐ死んでしまうのが欠点ですが、1度でも能力を誘発させることができれば損にはならない優秀なクリーチャーです。クリーチャーを切り詰めるデッキでは採用されないこともありますが、軽いインスタント・ソーサリーを大量に搭載したこのデッキとはかみ合うため一般的に2~4枚ほど採用されます。枚数は除去されやすいという点から2枚だったり逆に除去されてもおかわりできるように4枚だったりいろいろです。1枚積みはサーチできるわけでもなく、≪コラガンの命令≫が4枚積みならいざ知らず、基本的には任意に回収することはできない上に相手に干渉できるカードでもないのでお勧めしません。

≪ヴェンディリオン三人衆≫採用枚数:0~2枚
 無色1+青2マナと色拘束がきつい代わりにパワー3、瞬速、飛行に加えて相手のハンドを見て気に入らないカードがあればドロー1枚と引き換えにデッキボトム送りにできるという疑似ハンデス能力まで持ったスーパークリーチャーです。相手のドロー後に投げつけることを「ドローステップにえいっ」というのはmtgではあまりにも有名ですね(?)。ゆえにグリクシスデルバーでも採用されることがありますが、その重さと色拘束から枚数は1~2枚と控えめです。≪若き紅蓮術師≫と違って疑似ハンデスで除去をはじけること、飛行と3あるパワーによりこれ1枚で殴り勝てることもあることから1枚採用も視野に入ります。三人はどういう関係?(突然のホモ)

(3)インスタント・ソーサリー

≪血清の幻視≫採用枚数:4枚
 1ドロー後に占術2(デッキトップ2枚を見てトップボトムに好きなようにおける能力)というシンプルながらも強力なソーサリー。デルバーのためにトップをインスタントソーサリーにしたり、単純に次のドローの質を上げたりと序盤から終盤まで腐ることがありません。初手これと青土地1枚あるからキープ、なんてのも普通にあるくらいには頼りになります。
 似たようなカードに最近イクサランにてモダンに帰ってきた≪選択≫がよく比較対象に挙げられ、様々な意見がありますが、少なくともこのデッキにおいては≪血清の幻視≫が圧倒的に優先です。デルバーの変身はいうまでもなく、また土地を安定供給するという点においてはこちらのほうが上であるためです。

≪思考掃き≫採用枚数:4枚
 青1マナどちらかのデッキトップを2枚落とし1ドローできるインスタント。このデッキでは探査のための墓地肥やし要因として用いられます。軽いドローであるのもポイントです。また、墓地がもういらないときやコンボ相手などで相手が占術などでトップに置いたカードを叩き落す、なんてこともできます。
 小技として、デルバーの変身チェックで見たカードがいらない場合ドロー前にこれで落として有効牌をひきにいく、というのは覚えておくと便利です。

≪呪文貫き≫採用枚数:0or2枚
 青1マナでクリーチャーでない呪文に対して2マナ払うことを要求するインスタント。序盤の除去を打ち消したりコンボを妨害したり打消し合戦の締めに使ったり色々で、基本的にあまり強くないのですが軽いことが価値となるこのデッキでは採用されることもあります。
 これに限ったことではなくマナ要求型の打ち消し全般の小技として、わざと相手が払えるのをわかってて撃ち、土地を寝かせることで次のターン安全に動けるようにする、というのは覚えておくとたまに役に立ちます。
 枚数が0or2というのは、序盤に使いたいのにピン積みでは引ける望みが薄く、かといって序盤以外ではとても弱いため積むなら2枚となるためです。

≪呪文嵌め≫採用枚数:0or2~3枚
 青1マナでCMC(点数で見たマナコスト)が2である呪文を確定で打ち消すインスタント。≪呪文貫き≫とどちらかが採用されるのが一般的です。こちらの強みは条件を満たせば青1というとても軽いコストで確定打消しが飛ばせることと、モダン環境において2マナというのは強力なカードが多いということです。弱みは当然ですが2マナ以外の呪文には全く意味がないこと。どちらを採用するかは環境や構築次第だと思います。
 こちらが3枚採用もあるのは前述したとおりモダンには2マナのカードが協力で非常に多く、確定打消しであるため腐ることが少ないからです。

≪稲妻≫採用枚数:4枚
 赤1マナで3点ダメージ。原点にして頂点。赤を使う最大の理由です。クリーチャーやPWの除去に使うもよし。ライフを削るもよし。あとは特に説明することはありません。

≪致命的な一押し≫採用枚数:3~4枚
 黒1マナ2マナ以下のクリーチャー確定除去、さらに自分のパーマネントが場を離れることで満たされる紛争という条件達成時は4マナまで除去可能。霊気紛争で追加された非常に強力で軽い除去です。紛争はおもにフェッチランドにより達成します。本来相手に除去された仕返しというデザインのはずなのになんというマッチポンプ。完全に逆恨みですね。
 モダン環境において4マナまで除去できるのはほぼすべてのクリーチャーに対処できるのと等しいので本当に優秀です。ミラーマッチやグリクシスシャドウにおいて探査クリーチャーを除去できないのは注意しましょう。
 このカードによる最大の恩恵は、≪天界の列柱≫や≪難題の予見者≫といった厄介な4/4クリーチャーを1マナで除去できるようになったことです。今までは≪終止≫や、≪稲妻≫2枚などでの除去しかなかったため非常にありがたい。しかし、紛争が達成できなければ2マナしか除去できないという点から、4枚採用されることは少なく、3枚に抑えて≪終止≫と併用する、というのが多いです。

≪思考囲い≫≪コジレックの審問≫採用枚数:0or3~4枚
 詳細は割愛しますが、ともに黒1マナで打てるハンデスです。軽いため1ターン目のアクションとして採用されることがありますが、後半トップから引くと非常に弱いためお勧めしません。そんなもの引いていられるほどグリクシスデルバーというデッキはリソースが潤沢ではありません。

≪マナ漏出≫採用枚数:2~3枚
 無色1+青1マナであらゆる呪文に3マナ要求で打ち消すインスタントです。グリクシスデルバーにおいて最もよく使われる打消しといっていいと思います。なんにでも打てるというのは非常に優秀で、3マナというのも中盤までは容易に支払えるものではないため、ほぼ確定打消しとして使えます。色拘束が青1というのもとても優秀。打消しがたくさんほしいときは3枚、そうでなければ2枚採用が一般的です。

≪差戻し≫採用枚数:0or2枚
 無色1+青1マナでどんな呪文も確定で打ち消せ、1ドローもついてくるインスタントです。当然それだけなわけはなく代わりに打ち消した呪文は持ち主の手札に戻るため再び唱えられてしまうという欠点があります。しかし1おろーによりアド損しないため、素早く攻め切ることに重点を置いたり今をとりあえずしのぎたいときなどにとても優秀です。また初手でデルバーを出しこのカードを構えることができれば基本的に1アクションしか取れない序盤ではかの≪Time Walk≫のように相手のターンを何もさせずに終わらせることもできます。
 また打ち消されそうになった自分の呪文に向けて撃つことで相手の打消しを空振りさせてアドをとるというテクニックは絶対に覚えておいてください。特にコントロールや同型とのリソース勝負になったときとても重要です。
 0枚採用もありうるのは、ただでさえ不利なバーンに対しては本当に時間稼ぎにしかならないためです。

≪終止≫採用枚数:2~3枚
 赤黒それぞれ1マナでクリーチャー1体を破壊し再生を禁じるインスタントです。再生を禁じる能力が役に立つことは稀ですが、2マナの確定除去というだけで優秀なため≪致命的な一押し≫と合わせて2~3枚採用されます。枚数に関しては構築や好みによります。≪致命的な一押し≫で除去できないクリーチャーが入っているとわかっている場合はできるだけ温存したいですが、≪瞬唱の魔導士≫で使いまわせるためうってしまっても構わない場合も多々あります。(やっぱり瞬唱ってすごいんやなって)

≪対抗突風≫採用枚数:0~2枚
 青黒で、クリーチャーでない呪文を確定で打ち消し、さらにその呪文の持ち主のライフを2失わせるインスタント。色拘束はきついのですが確定で打ち消せることに加え打消し枠でライフを減らすことができるのが最大の魅力です。さらにこれはプレイヤーを対象にとらず、またダメージではないため、≪神聖の力戦≫などで呪禁をもったプレイヤーや、≪崇拝≫などでダメージを受け付けなくなったプレイヤーからもライフを奪うことができます。このことからメインボードからも採用されることがあります。が、やはりクリーチャーを打ち消せないのと色拘束から最大でも2枚程度です。

≪コラガンの命令≫採用枚数:1~4枚
 無色1+赤黒それぞれ1マナの計3マナで、「クリーチャーかプレイヤーに2ダメージ」「アーティファクト1枚破壊」「自分の墓地からクリーチャー1枚回収」「相手に1枚手札を捨てさせる」の4つから2つを選択できるインスタント。このデッキのインスタントソーサリーの中で最も重く、最も強力です。1枚で多くの場合で2アドとれるのはバケモノで、これを≪瞬唱の魔導士≫で使いまわした時の気持ちよさはぜひ味わってほしいレベルです。
 クリーチャー除去やとどめの火力、メインからのファクト対策、追加戦力補充が強力なのは言うまでもなく、最後のハンデスも地味に重要です。何が重要なのというと、「インスタントタイミングで打てるハンデス」であることです。相手がトップ頼りになったとき、ひかれたらまずいインスタントタイミングでは使えないカードがある場合、ドロー後メインフェイズに入る前にこのカードをハンデスモードで唱えることでそれを捨てさせ使わせないことができます。実際にこれで勝ったこともあるため、覚えておいてください。

≪電解≫採用枚数:0~1枚
 無色1+青赤それぞれ1マナの計3マナで、1ドローに加えプレイヤーとクリーチャーを最大2つ選び、2点ダメージを振り分けることのできるインスタント。本記事最後となるカードですが、実は最近採用しているレシピはほぼみません。というのも、このカードの最大の強みは分割火力とドローで最大1:3交換ができることなのですが、いかんせん重く、それなら≪コラガンの命令≫のほうが強力である場合が多いためです。1:3交換も、相手にタフ1のクリーチャーが2体いなくてはならないため、1体破壊+1ドローか本体2点+1ドローの場合が多くなり、それなら≪コラガンの命令≫のほうが手札補充という面でも≪電電解≫のランダムドローに比べ確実にその時ほしいクリーチャーを選んで回収できたり、ほかのモードを選んだりと小回りが利きます。したがって≪電解≫は採用されないか、メインからの≪未練ある魂≫やその他ウィニーの対策を兼ねて1枚採用されるのがせいぜいといったところです。




さて、思ったより長文になってしまい書いている現在時刻午前2時ちょっと前で筆者は頭がふらふらしていますが以上がグリクシスデルバーのレシピ概要と各カード解説となります。次回はサイドボードの解説をしていきたいと思っているので良ければまた読んでください。

それでは、おやすみなさい・・・

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